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つま漢 第52回「二朮湯」

こんにちは、漢満堂の下山です。
先日行われた「つまづかない漢方講座」はコロナ後初となるオフライン講座でしたが、やはり五感に感じる漢方講座は楽しさも情報量も格段ですね!
生薬解説のテーマは「蒼朮-そうじゅつ-」

会場に入って先ず感じていただいたのは、トップ画像にある蒼朮の香。
昔は夏になると蒼朮を燻した煙で蚊を追い出したり、防カビとしていたようです。何とも言えない田舎風のいい匂いがします。


白朮と蒼朮、この二つを配合する二朮湯を煎じながら講座スタートです。

前回の白朮に続き、同じ朮でも何が違うの?というところを詳しく解説。

講義中の青木先生。二朮湯解説中かな?

さあさあ、どう違うの?|ω・)(ワクワク
と思いきや、『神農本草経』をはじめとする古典の記載では白朮と蒼朮の区別がされてません💦

蒼朮(ホソバオケラ)
白朮(オオバナオケラ)

「蒼朮」は、ホソバオケラの根茎。
「白朮」は、オオバナオケラの根茎。

確かにどちらもオケラだし、めっちゃ似てる。。。
でも、すごく似てても違う効能の生薬あるしなー。

どうなんですか!神農様!!!
一緒でいいんですか!!!(゚д゚)!

何食べてるのかな?大根?

なんて…。(*_ _)
実は、白朮と蒼朮の歴史的な区別については、『本草綱目』以降との見方があります。
しかし、はっきりしたところは分かっておらず、長らくその使い分けに混乱があったようです。

現在は、
・白朮は主に滋養作用、利尿作用、健胃作用
・蒼朮は止痛作用、健胃作用
という効能があり、蒼朮は湿邪に由来する関節痛に配合する、と考えるのが一般的ですね。
しかしながら、これもまた医家やエキスメーカーによりこだわりがあるとのこと。
うーむ。。。

そんな蒼朮の特徴を理解するうえで、今回はとある実験結果を交えて解説していきました。

その実験内容は
「漢方方剤中の白朮と蒼朮を4週ごとに入れ替えて処方した。」
というもの。

症状は、変形性膝関節症、腰痛症、高血圧症、慢性関節リウマチ、高脂血症、
糖尿病、肩背神経症。

詳しい内容は割愛しますが、結果は、関節痛のある症例では23例中15例が、蒼朮の方が白朮より有効と回答。
関節痛のない症例では、27例中17例が白朮の方が蒼朮より有効と回答があり、白朮と蒼朮の間には優位な相関関係を認めました。

つまり、関節痛を有する症例には蒼朮を用いた方が改善率が向上するみたいですね。

神農本草経では、同じだと思っていたものが実は違いがありました。
古典のものは素晴らしい書だと思いますが、それがすべてではないです。
鍼灸でも漢方でも西洋医学でも、まだまだ発展途中なのですから。
自分で発見していくことが臨床能力にもつながっていきますね。(*^^*)

二朮湯を味見!意外といけると好評でした!

来週10月のつま漢講座は「五味子」です。(*’ω’*)
体調がわかる!?オミジャ茶として有名な五味子。お楽しみに!

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